2020/07/16

在宅医療で求められているのは医療的ケアだけではありません

新生児医療に関する医療機器と技術の進歩で、それまで救命が難しかった小児の救命率が格段に向上しています。その結果、高度な医療ケアが必要な状態のまま、小児在宅医療に移行するケースも増加傾向を見せており、それが新たな問題につながっているのも現実です。また、高齢者の在宅医療では介護保険が適用されますが、在宅医療を必要とする小児に対する介護保険は適用外であるため、医療費の負担に関しても問題の一つとされています。

次に高齢者とは異なり、対象となる小児の絶対数が少なく広域に存在している、成人とは異なる病状が見られるなど、訪問医療を担う医師から敬遠されやすい傾向が伝えられています。人工呼吸管理装置など、精密医療機器への依存度が高く、重症である確率が高い小児に対し、介護保険適用外でケアマネージャーが存在していない状況も、家族が担う介護負担が大きくなってしまう理由です。

こうした現状の改善を目的に、全国各地で研修会などが開催されていますが、医療に携わる専門家目線での勉強会などが中心で、当事者や家族目線で有益な内容とは言い切れないのが現状です。また成長過程の小児ですが、その成長度合いも個人差が顕著であり、義務教育を受けられる環境の整備など、医療の範疇外の生活環境の整備も無視できません。これらの問題をすぐに解消することは困難を極めますが、そのような中でも当事者の目線に立ち、現状を分かりやすく説明し、また正しい知識の共有化を図る必要があるでしょう。本当の意味でも小児在宅医療は、現時点ではまだ黎明期段階であると言えます。